令和2年5月25日、高瀬將嗣兄は逝った。
本記事を公開するには少し躊躇いがあったが、先日、ご内儀より、高瀬道場創立50周年記念公演(R3.5.8)のご案内をいただき、故人を追想することも一つの供養と考えアップすることにした。
高瀬兄は小生と国士舘大学のクラブ(言道部:いわゆる弁論部)を同じくし、2学年後輩にあたる。小生とは言道部、望岳寮の同期で、国士舘高校出身の来丸(らいまる)秀男(写真右,左小生:於大講堂)という苦楽をともにした親友がいるが、高瀬兄もまた同高校出身であり、来丸兄を慕って同クラブに入部してきたのである。
因みに、やはり国士舘高校出身で、来丸兄の一級後輩、高瀬兄の一級先輩に石下治明という面白い男がいるがここでは触れない。在学時の思い出はあまりにも濃厚すぎて、本稿では語り尽くせないものがあり、ここでは比較的最近のことについて触れてみたい。
ここに、「昭和高校最強伝 国士参上 !!」という映画がある。
監督は高瀬將嗣。
1970年代(昭和)を背景に、高瀬兄の国士舘高校時代の実体験を元に、アクションとドラマで描かれたエンターテイメントである。有り体にいうと東京を二分する不良高校(生)の抗争と青春を描いた娯楽活劇であるが、見どころは高瀬監督の専門とする技斗(ぎとう)と(ピリッと山椒をきかせたような)一方の皇士舘高校(国士舘高校)の館長(津川雅彦)及び教師(秋野太作)に語らせる、高瀬兄が学んできた国士舘教育の奥義である。
小生は、現在の国士舘に受け入れられるか否かは別として、特に後者から、高瀬兄のこだわりと思いの詰まった作品であると感じた。はたして…、小生の所属(当時)する国士舘大学法学部のS教授とF教授が映画を評価(絶賛?)されたのである。
OBである高瀬兄が評価されるのは嬉しいことである。同じ時代を生きたOBの我々が共感するのはわかるとして、いわゆる武闘派とはほど遠い学者である両先生が、映画に感銘し高瀬監督を大学に招聘し、法学部教員有志との懇談会を開催されたのである。
私もS教授、F教授をよく存じているが、先生方が、どこの琴線にふれてそのように感じられたのかは、正直なところわからなかった。今でも推測するのみであるが、察するところ、高瀬兄の映画への思い入れ、生き様、破天荒さ、国士舘人らしさ…、それらを反映した作品の面白さ、そして高瀬兄の人間的魅力であろうか。
F教授はその後も高瀬監督をゼミに招聘してOB特別講義を行っており、令和2年度もゼミで「国士参上 !!」の上映会を行う予定であったとのことである。
その矢先の旅立ちであった。
人の死はこの世との別れであるが、この世に何を遺したかはその人の生きた証であり、その人の人生の価値である。
その意味において、高瀬兄は親父殿の遺志を継ぎ、自身が立ち上げた芸道殺陣波濤流高瀬道場を今日のように発展させ、数々の作品を世に送り出し、多くの門人を育成するという仕事を為してきた。恐らく高瀬兄の志は門人達やご内儀(ご内儀もまた門人である)により継承され、更に次の世代へと受け継がれていくことであろう。
小生もそれを見守っていきたい。
一周忌を前にして、高瀬將嗣兄を偲ぶと共に改めてご冥福を祈りたい。
■追記
5/8の50周年行事は、7/17(土)に延期の方向で調整中とのことです。
下記ホームページをご覧ください。