隠居歳時記

もう隠居? 否、自分流の隠居道を探求中!

EOSの日_鎌倉散歩!「葛原岡神社」を目指すも「青山」に行き着く!


 4月に入った。
 会計年度が替わり、町内会の監査報告、定期総会を目前に控え、急ピッチで令和4年度決算書及び令和5年度予算書(案)の作成作業に注力してきた。

 そこへきて、今週は隠居者にしてはチョッと忙しい。
 昨日は新横浜の歯医者でインプラントの手術。麻酔のせいで一日がつぶれた。
 明後日は業者とリフォームの打合せ。
 土・日は町内会がらみの仕事で統一地方選の準備及び運営の手伝い。
 と続く。

 週明けの月曜日はいよいよ会計監査の当日だが、年度末から準備を進めてきたこともあり、今日の午前中には前述の書類をほぼ完成させ、会長及び会計主務者にファイルを送信し、取り敢えずの報告を終えた。

 そこで、
 少し気が楽になったこともあり、急遽、見納めに鎌倉の桜吹雪を見に行くことにしたのである。

 経路は幾つかあるが、ここ(戸塚)ならではの交通機関を利用することにした。
 まず神奈中バス大船駅へ。大船から湘南モノレールで湘南江ノ島に向かい、次に江ノ電江ノ島電鉄)で鎌倉を目指すことにした。

 大船駅まではバスで15分ぐらいか。
 駅に着くと小高い丘の上の大船観音の姿が目に飛び込んでくる。

 因みに、大船観音寺のホームページに「花田半助(大助)」氏の名前が見られる。同氏はいわゆる国士舘三田(柴田・山田・花田)の一人で、国士舘創設のきっかけともなる「早稲田騒動」当時からの柴田徳次郎先生(国士舘創立者)の同士であるが、頭山満翁と共に大船観音の建立に深く関わっているのである。ゆっくりと山を登り参観したいところだが、今日のところは時間の関係で先を急ぐことにした。

大船観音



 大船から湘南モノレールに乗り、終点の湘南江ノ島を目指した。
 前に乗ったのはいつ頃だったか?

 モノレールは、ほぼ道路に沿って敷設された高架軌道下を道路を見下ろしながら進むのだが、遊園地のアトラクションに乗っているような感覚があり、実に楽しい。席にも座らず、子供のように運転席の後ろに陣取って終点まで景色を楽しんだ。

湘南モノレール


 次は江ノ電
 周囲は外国人だらけだ。
 視界が開け七里ヶ浜が車窓全体に広がってくると、案の定、歓声が響く。稲村ヶ崎極楽寺と進んで、やがて鎌倉駅に到着。

江ノ電江ノ島駅


 鎌倉駅小町通りとは反対側の西口に降りた。
 実は今日の目的地は葛原岡(くずはらおか)神社である。

 恐らくピンとこないであろう。
 観光地鎌倉において、あまりメジャーな場所ではない(と思われる)。

 今でこそ縁結びの神社などといわれているが、銭洗い弁天から更に源氏山方向に登った先の先、逆の北鎌倉方面から来ると、亀もひっくり返るといわれる鎌倉七口亀ヶ谷坂切り通しを越えて、更に化粧坂(けわいざか)切り通しを登り切った処にある。この地は鎌倉時代の処刑場があった場所で、その名を聞いてもほとんどの方は知らないと思うが、後醍醐天皇南朝)の忠臣、日野俊基(ひのとしもと)卿が処刑された地なのである。

 葛原岡神社はその跡地にある。
 御祭神は日野俊基卿。
 そして、この地は隠れた桜の名所でもあり、散る桜を観賞しに、今日はここに来る予定であっのだが、迷走した。

 頭の中に地図は描けていたのだが、突き当たって戻り、また突き当たっては戻り、車が通れないようなトンネルを二つも三つもくぐり山の上を目指したのだが、どうやら頭の中の地図が間違っていたようである。Googleマップに頼ればこのような事は無かったかもしれない。鎌倉は小生にとって庭のようなものであると思っていたが全然庭ではなく、迷路だったようである。グルグル回っているうちに夕刻になってしまった。何をやっているんだ俺は。これでは徘徊ではないか。

 足が棒になってしまったこともあるが、あきらめは良い方で、今日は良い散歩をしたと思うことにし、駅方面に戻ってきた。

 そこで偶然見つけたのが「青山」(せいざん)である。
 直ぐに「人間至る処青山あり」(人間その気になれば何処ででも死ねる)を思い浮かべたが、HPによると、禅の言葉「青山緑水」(雄大な自然の情景をあらわす)に由来するようである。鎌倉らしい店名だ。

 一見すると美術館のような立派な建物には似つかわない入口の「酒」の看板。
 一見(いちげん)の店は敷居が高いが、どういうわけかこの日は店に誘われたような気分であった。入って尋ねてみると、どうやらホテル・レストランのようである。入ってすぐのフロアーには客は誰もいない。小生一人である。

 広い空間を独り占めにして窓際の席に座った。

 女性スタッフの方が応接してくれたが、落ち着いた大人の感じが店の雰囲気に合っている。看板にも「酒」とあったので日本酒をオーダーした。銘柄は熊澤酒蔵の「天青」(てんせい)。この酒蔵は神奈川では有名で、湘南(茅ヶ崎)に残された最後の蔵元といわれている。

 天青の味わいは非常にスッキリしていてのどに染み通るような感じがある。
 酒の「あて」は塩辛。それと、鎌倉の海であがったしらすのつくだ煮がサービスでついた。これは一杯では済まないなと思ったが、やはりおかわりをすることになった。

 二杯目はチェイサーを飲みながら、ゆっくりと時間をかけて味わった。

 いい酒、いい肴、いいスタッフ。
 そしてこの店の雰囲気。

 三拍子も四拍子も揃った「青山」で優雅な時間を過ごし、少し酔いが回ったところで店を後にした。

 今日は葛原岡神社には行けなかったが、その代わり、思わぬ果実を拾ったような気分であった。次回鎌倉に来たとき、もう一度、天青に立ち寄ってみようと考えながら鎌倉駅に向かった。

青山(せいざん)



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